和洋国府台女子中学校高等学校

教科

探究「疑問に思うこと」が勉強のスタート、質問づくりの重要性

2020.08.03

質問をしっかりと考えると、深い学びにつながる!問題集に取り組み、すぐにわからないものは答えを見て答えを覚えることが勉強だと思っている傾向がある生徒たちに、「疑問に思うこと」を経験させたい!と熱く語る村上先生。今回は質問を考えることの重要性を語ってもらいました。熱い90分トークをまとめましたよ。

高大7年制「共育」和洋コース、そのスタートラインになる科目が探究基礎ですよね。
はい、そうです。大学での充実した授業を見据えて、和洋コースでは探究型授業を実施しています。そして、その最初に行うのが探究基礎と呼ばれるものです。探究基礎に関しては、高1全てのコースで開講されています。Google Chromebookの使い方や、言語技術の用い方、データ収集方法など、探究学習を行っていく上で必要な様々なスキルを身につけます。
質問を考えるという取り組みも、その中のひとつですか。
はい、そうです。この取り組みは、今から3年前に図書館で『たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」』という本との出会いに遡ります。
講演会などの最後、授業の最後に「なにか質問ありますか?」という投げかけがあって、そのあと「シーーーン」ということが日本ではありがちです。あの聞いていたのかわかったのかどうかわからない無反応な状態。もっと質問がたくさん寄せられて、わきあいあいとした質問タイムが生み出せたらいいなぁと考えていたのですが、3年前のある日、この本に出会いました。
運命的な出会いですね!
物は試しと当時自分が担当していたクラスや、そして、倫理の先生にも協力を仰いで、実践してみました。すると、見違えるように質問があふれて、そして、内容理解も深まったのです。
まさに、たった一つを変えるだけだったというわけですね!どのような取り組みなのですか?
まずは題目に対して質問を考えます。試しにやってみましょうか。
いいですね、具体的で。
大腸菌はラクトース(糖)がないとラクターゼ(酵素)をつくらない
え?
「大腸菌はラクトース(糖)がないとラクターゼ(酵素)をつくらない」という題目に対して質問を考えてみてください。
たくさん質問が浮かびますよ♪生物苦手でしたからクエスチョンマークが頭の中で並んでいます。
・ラクトースってなんですか?
・ラクターゼとは?
・そもそも大腸菌とはどのような菌ですか?
・大腸菌とは良いもの悪いもの?
・ラクトースとラクターゼとはどう言う関係性があるのですか?
(ドヤ顔で)どうですか!けっこうたくさんの質問をつくりましたよ。
他にはどのような質問がうかびますか?
え!もっと質問をつくるのですか?
はい。実際の授業ではグループで話し合いながら、質問を20くらい考えます。そして、教員は質問に対して講評しません。ついつい「良い質問だね!」とか「なに、その質問?変でしょ。」と言いたくなってしまうのですが、グッとこらえます笑
そして、グループ内でたくさんの質問が集まったところで、質問の精査を行います。
精査というと?
質問内容を分類し変換する活動を行います。質問には、閉じた質問と開いた質問という2種類があるので、その分類を行うのです。
閉じた?開いた?
閉じた質問とはYes/Noで回答ができる。または答えが一言でだせるものです。開いた質問は逆に、一言では回答できないような質問ですね。先ほどの20の質問を分類して、閉じた質問を開いたものに、開いた質問を閉じたものに変換していきます。
その活動を通じて、質問内容をより考えていきます。また、閉じた質問は簡単に答えが出るので、答えはすぐに調べることができますね。
もしかして、質問づくりがすでに学びになっている?
その通りです。そして、質問の変換を行った後に、最終的に3つの良い質問を自分たちで選び出し、質問する順番も考えます。自分たちで考えた質問ですから、答えを知りたくなりますよね。
結果的に、知りたいから能動的に授業を受けるようになると......!?
そうです。質問づくりという活動が授業の予習に相当します。この活動を行うことで、高い関心をもって授業にのぞめるでしょう。結果的に、深い学びへとつながりやすいですね。
今回の探究の授業では、質問の焦点(質問を考える対象)を「大学」として質問を作り、進路学習にも役立てました。また、生物の授業では模造紙と付箋を使いましたが、今回はそれに変わるツールとして、GoogleのJamboardというアプリを使って、ソーシャルディスタンスを取りながら、グループワークを行いました。この手法も他の授業で使えると思います。
話を伺っていて感じたのですが、授業だけでなく講演会や日常のあらゆる場面で利用できそうですね。
そうです。疑問に思うことが何よりも大事で、そのことが学びのスタートになります。問題集に取り組み、すぐにわからないものは答えを見て、答えを覚えることが勉強だと思っている生徒たちに、「疑問に思う」楽しさを経験させることができることはとても意義深いと思います。
おおー!、その言葉を胸に刻んでおきます。今日はありがとうございました。

まとめ

  • 質問づくりは物事に対して能動的になるきっかけとなり、探究学習において必要なスキルの一つ
  • 簡単に回答ができる閉じた質問と、そうではない開いた質問がある
  • 勉強とは疑問に思うこと、問題集の答えを覚えることではない
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