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【高1 書道】最古の古今和歌集の写本「高野切」の授業①【書道】最古の古今和歌集の写本「高野切」の授業①
本校の高校書道選択者は高1で高野切第三種を、高2では高野切第一種を学びます。
今回は三学期に行った高野切(こうやぎれ)の授業を紹介します。
まずは高野切の鑑賞を通して高野切の中でも三種類ある書風を「どれが好きか」「何が違うか」「どう違うか」と話し合います。その後、作品から五感や連想される物事、どんな人が書いたか、どんな情景で書いたか、作品と向き合い出来るだけたくさん書き出していくことで表現の違いを意識します。
生徒の高野切の違いについて考えた結果を少し紹介します。
●Aさんの意見
【第一種】夜、男性が一人で風に当たりながら書いている, 強弱がある, 雲みたいにふわふわしている, 季節は春, わたあめ, やわらかそう, 気持ちよく書いている
【第二種】昼、女の人が丁寧に書いている, ゼリーみたいにやわらかい, 弱弱しい感じ, きれい, か細くてか弱い, ざらざらしていそう, 塩ラーメン
【第三種】秋, 強弱がある, 強そう, 石みたいに固い, 男性がお酒を飲みながら気持ちよく書いていそう, 淡々と書いているかんじがする
●Bさんの意見
【第一種】文字の細太がはっきりしている, 連綿が多い, 醤油ラーメン, 秋の朝, 男性が権威のある人に向けて書いている感じ, 樹の匂い, するする, 筆を止めずに速く書いている, 少し緊張気味, 字のきれいな人が選ばれて書かされている感じ
【第二種】全体的に字が薄い, 文字の太さが一定で変化があまりない, 連綿が多い, おしるこの味, 冬の夜, おじいさんが誰もいない部屋で書いている感じ, さらさら, 少し途切れ途切れに書いている, 死に際のことを考えて書いていそう, 心細い感じ
【第三種】墨の濃さが一定, 書き始めが太くて墨の濃淡の変化がある, つゆだくのそうめん, 春の日中, 小麦粉の匂い, 女性が午後に庭を眺めながら書いている感じ, 時間を忘れて書いている, 丁寧に書いている, しゅるしゅるしゅる, 流れるようにリズム良く, 小川が流れている感じ
●Cさんの意見
【第一種】インテリ系男子が書いている, ミニマリスト, 理系大学生, ラムネ, 塩味, サササ…, 強弱がある, 細め, 縦が強い, 水や液体のイメージ, 軽い, すべすべしている
【第二種】オラオラ系, 金髪で日焼けサロンに行ってそう, 動物園, 大雑把, 肉, 高カカオチョコレート, ドドド…, 墨が一定, 文字のつながりが多い, 連綿しまくり
【第三種】 女々しい感じ, スイーツ系男子, トントンっ, 細身, 甘じょっぱい, ところどころ強弱がある, 細さが目立つ, ムチっとしている
・・・視点は違えど、各々で3つの違いが明確に分かっているようです。
書道の授業では、ただ文字を書くだけではなく作品鑑賞を通して芸術としての視点を持って書道に臨むことを意識し授業を展開しています。生徒たちは意見交換や自分の感性を言語化することに慣れているので、課題や図版を配布するだけで良く見て良く話し、良く観察する雰囲気を自ら作り出して芸術を味わっています。
また、知識面でも変体仮名テストや平仮名字源テストで少しずつ平安時代の仮名文字を読めるようにして、最終的には半紙臨書と書道Ⅱ(高2)で和歌一首を短冊に創作します。
創作では短冊の書式をふまえて「三つ折り半字がかり」「墨つぎの場所」など意識しながら、高野切第一種の書風を生かすために実際の作品図版から文字を拾い、馴染みのある百人一首から一首選んで創作しました。
「高野切第一種に混じっても違和感のないように」墨つぎの場所や墨が少なくなる程度までよく観察するため、草稿作りは非常に難航しましたが休み時間も返上して取り組む生徒も多くどうにか完成したようです。
次回は出来上がった作品をお披露目したいと思います。
