和洋国府台女子中学校高等学校

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探究課題設定を自ら行う和洋コースの探究型授業

2020.07.31

今年度から高校の1年生全てのコースで行われている探究授業。特に和洋コースでは高大7年制を踏まえて、全ての科目において授業形式が大きく異なります。大学受験という枠組みにとらわれず、自分で課題設定をし、アウトプットする機会を多く設けることで、自分の学びを深めていく活動を多く取り入れています。たとえば、同じ世界史Bの授業でも和洋コースでは探究型授業です。どの辺りが異なるのでしょうか。

土田先生、早速ですが和洋コースの世界史Bの授業はどのようなものになっているのでしょうか。教えてください。
和洋コースでは自分で課題を見つけ出し、それについて調べて発表することで学びを深めていく探究型学習を多く取り入れています。そして、その結果から次の課題を設定し、さらに内容を深めていくというのがポイントになっています。ですから世界史Bを担当するにあたってこのことについてはよく考えました。
歴史の授業と言うと先生が歴史の流れを解説してくれるというのが一般的ですよね。
確かに一般的です。それは流れを確認する、多くの知識を得る、ということにおいてはとても大事なことだと思います。しかし、和洋コースでは大学受験を目指しているわけではなく高大7年制ということを強く意識しています。知識の習得ももちろん大切ですが、高大7年制ということで大学受験という枠にとらわれず、より実生活、自分自身と結びついたものとして学んでほしいと考えています。そのためには、授業形態そのものも変える必要があると思いました。
とても壮大なプランに聞こえます。準備大変そうですね、全く違うわけですから。
はい、そうです。今年度から和洋コースでの授業が始まりましたが、いきなり4月から授業を行ってはなかなかうまくいくものではありません。ですから、前年度から少しずつ準備をしてきて、今年の和洋コースでの世界史Bの授業を行っています。
世界史Bの中で自分で課題を見つけて、そして調べる、発表するというのはイメージが少ないのですが。特に自分で課題を見つけるというのはどのようなことなのですか?
そこが、私が一番悩んだところです。でも、課題を見つけるというポイントがないと、単なる調べ学習になってしまいます。他の先生にもアドバイスをいただきながら、授業を組み立てていきました。
実際どのような取り組みなのでしょうか。
例えば、古代インダス文明、ローマ帝国といったことをテーマにした場合、治水のことや、水路のことについて学ぶことがあります。
従来の授業であれば、先生が解説をするか、あるいは「古代の治水問題について考えてみよう」と先生から発案があり、そのことについて生徒は調べ発表していきます。
確かに自分が受けた授業もそのようなものだったと記憶しています。和洋コースでは違うのですね。
はい、時代の背景や知識を先生から解説する場も設けていますが、その単元において、現代の問題や、現在あるものと結びつけて生徒たちで課題テーマを設定する活動を取り入れています。
そうするといくつかのテーマが出そうですね。
はい、その通りです。ある班は『コロナ(ウイルスの感染拡大)はなぜおこったのか』『デモの起源をさぐる』などのテーマを設定しました。また、別の班では、『水道の起源』というテーマを設定しました。
『水道の起源』というのは突然に感じます。
実は、国語総合の授業で習ったことがきっかけだったようです。国語総合の授業では『水の東西』という単元で水道について扱っていて、そのことがきっかけになって、「古代ではどのように水問題を解決したのだろうか」と生徒が考えたようです。
生徒自身が課題設定を行うことで、教科を超えた取組みにつながっているのですね。
そうです。生徒は水道についての知識はまだ乏しいですが、どのように問題を解決したのか、考え、予想します。
予想を立ててから、実際にどのような解決策を講じたのか生徒たちが調べていきます。生徒はすでにChromebookを持っているので、早速インターネットに繋ぎ、調べたり、また、図書館に足を運んで調べることが促されています。
そして、調べてきたことをまとめて発表することになります。
従来の調べ学習と大きく異なるのは生徒自身が課題を決めて、そして、その課題に対しての回答を自分たちで予想しているので、非常に目的意識が高く調べることができます。
確かにそういった活動であれば能動的に自分から学んでいくことができそうですね。
はい、まだまだ授業が荒削りなところもありますが、こういった活動は大学に進んだ後も大いに役立つのではないでしょうか。
実際、生徒が足りてないところはどのようなところなのでしょうか。
例えば、まだ世界史Bに関しての知識は乏しいので、それについては補っていく必要があります。また Chromebookを所有していることから、調べる対象がどうしてもインターネットだけに限定されてしまうのも問題です。今後可能性を広げていければと思っています。
色々と課題がありそうですね。
はい。しかしまだ1年生。これから2年生、3年生と進むにつれて、探究の内容がどんどんと濃くなっていくことを期待しています。
このように生徒主体で学びを深めていく活動を多く取り入れているのは世界史Bだけではないと思います。他の授業での活動を通して、ますます質が上がるのではないでしょうか。
一つの事象は他の事象とのつながりがあります。そういったことをつなげて、考えてより深い学びに繋がっていくことが探究となり、そしてそれは大学へと生かされていくことでしょう。
今度実際の授業の様子をぜひ見に行きたいと思います。今日は時間をいただきありがとうございました。

まとめ

  • 和洋コースではどの教科でも探究型授業
  • 課題設定を自分たちで行うことで能動的学習を促す
  • 生徒の中で、他教科で学んだことや興味のあることと関連付けて、学びを深める
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