和洋国府台女子中学校高等学校

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探究長坂理事長「日本の教育制度に挑戦する」高大7年制共育

2020.11.30

高校と大学が連携し結びついた7年制という新しい教育プログラムがスタートしています。和洋学園 理事長 長坂先生に7年制への思いを聞きます。

高校と大学が接続した7年制「共育」とはどのようなお考えから始められたのでしょうか。
いささか生意気ですが一言でいえば、高大7年制とは現在の日本の教育制度に対する新しい挑戦です。
日本の教育制度への挑戦ですか!詳しく教えて頂けますか。
私は現在の教育制度6・3・3・4に中3高3一貫教育の6年制があるならば高3大4の7年制が存在しても良いと考えました。幸い、この構想には文部科学省も賛成してくださり、2020年度から実現の運びとなりました。教育は社会制度の中でもとても重要な位置を占めていますが、現在の教育と実社会とでは大きなズレが生じていると感じています。
大きなズレとは何でしょうか。
戦後に導入された我が国の教育制度は親の出自や収入に関係なく本人が努力しさえすれば、それが報いられるという素晴らしい社会制度でもありました。日本的な平等社会を実現するための効率的なシステムであったのです。しかし、この制度は社会の要求に十分応えられないという欠点が目立ち始めました。例えば、かつての日本の教育制度では、たくさん知識を習得した人が受験でも有利だったといえるでしょう。ところが、20世紀を過ぎるとPCの普及などにより、それまでの記憶競争だった勉強が評価されなくなってきました。知識以外、特に自分で考え、発表する力が重視されるようになったのです。
このような社会において、学校教育はどうあるべきとお考えですか。
数年前、東京大学の入学式で当時、総長だった濱田先生は「学問とは答えが果たして存在するかどうかさえもわからない問題について研究するものです。」という趣旨の発言をされていました。この言葉にこれからの学校教育のヒントがあると思います。必ず正解が一つだけであることを前提とした勉強は、答えがあるとは限らない実社会では通用しないと思います。知識をたくさん増やすだけでなく、答えがない問題にどのように取り組んでいくかを日ごろから意識していくことが大事だと考えています。
答えがあるとは限らない問題に取り組む社会に、そこで通用する学びを実現する学校教育ということはわかりました。具体的に高等学校ではどのような工夫がされているのですか。
一つの答えが探究型授業です。WIQと呼ばれている教育です。授業では先生が一方的に知識を伝えるだけではなく、生徒自身が問題提起をして考え、発表するという探究型授業です。特に和洋コースでは、この探究型授業が全教科で取り入れられています。先生が教えるのを生徒が受動的に聞くのではなく、生徒が能動的に考えるという大きな学びの転換が行われています。このような学習を高校時代から続けていくことで、大学での学びによりスムーズに入ることができますし、答えのない問題に取り組むことが当たり前の社会で応用できる能力を養えます。 また、高校在学中から大学の授業に参加をして実際に単位を取得することができます。具体的には高校2年生から午後に大学の授業に参加をします。高大が同じキャンパスにあるので、容易に実現することができます。
高大7年制の教育のプログラムということですよね。もう少し詳しく教えてください。
一般的に高校3年間の過ごし方は大学入試を見据えたカリキュラムとなりますね。これに対して、和洋コースの生徒は高校2年生から毎週大学の授業を受けて単位取得をすることができます。単位取得を前倒しすることで、大学に入ると、約半年間の「フリーな時間」を持つ事ができます。大学側もこの半年間を有効に過ごすためのプログラムを用意しています。
「フリーな時間」を有効活用する大学のプログラムとはどのようなものでしょうか。
約半年間のプログラムとして海外提携校への留学・障がい者施設などでのボランティア活動・企業でのインターシップを準備しています。もちろん、勉強の好きな生徒は関心のあることについて大学教授の指導下で研究を深めることもできます。現在の大学教育では約半年間の余裕を作り出すのは大変難しい事ですが、和洋コースの高大接続7年制はおよそ半年間の自由時間を作り出し、多様な経験をすることができます。この若い時代の半年間は大変貴重な経験となり、人格形成においても大きな影響をもたらすことでしょう。
確かに大学4年間で半年間の経験は貴重で得難いものになりますね。7年制を卒業する生徒にはどうあってほしいとお考えですか。
大学卒業までに、実用的な資格を最低1つは持っておいてほしいと考えています。長い人生の間には育児や介護などで会社をやめるという局面に遭遇する事があるでしょう。一度家庭に入ってからの社会復帰は大変難しいのが現状です。そのとき、免許や資格が役に立ちます。和洋中学から高校・大学への学びを通し、人間教育をしっかり受けた者として、社会に歓迎される、社会貢献できる女性を育てたいと思います。和洋女子大学の7年制は人間教育に力を入れた社会に適用する人材を育み輩出する教育です。
理事長先生の熱い思いがお話を通して感じられます。どんな生徒に入学してほしいと考えていますか。
社会で役立つ、自立する人間になりたいと考える生徒に多く入学してほしいですね。7年制には大学入試がないので、大学入試がないからという甘い考えでは7年のカリキュラムを消化できないでしょう。7年制のカリキュラムは高校から大学までしっかりと考えられています。ですから、高校で学ぶべきことはしっかり合格点を取り、多様な問いに対して自分の頭で考えて答えを導こうとする探究心のある生徒に多く来てほしいですね。そのような生徒が集まれば、お互いに良い刺激となり高めあうことができます。和洋に通うすべての生徒にとってより良い人間教育の実現こそが、この高大7年制への私の思いです。
高校と大学の学びが結びついた和洋の教育プログラムの実現に込められた理事長先生の思いが分かりました。今後の展開が楽しみですね。

和洋女子大学7年制コース特設ページ

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