うん!高い音もきれいに出せるようになって、音楽の流れを感じ、滑らかに演奏できているね。
・・・さらに良い演奏にするポイントがあるんだけど・・・
フレーズの終えかた・・・?フレーズってなんですか?
ひとまとまりのメロディーのことだよ。文章で言ったら、句読点ごとのひとまとまりのような感じかな。
言葉のわからない国の人々の会話を聞いたとき、話の内容はわからなくとも、喜怒哀楽はわかるんじゃないかい。
・・・そうですね。言葉の発し方、会話のテンポや、テンションというか・・・調子の上げ下げでわかる気がします。
調子の上げ下げのことを抑揚(よくよう)っていうんだよ。・・・その表現の中でも、会話だと語尾、音楽だとフレーズの終わり方で、受ける印象は大きく変わってくるんだ。
会話の最後で「~です!」と強く言ったり、「~です/」のようにはっきり切ったりすると、「強い」や「硬い」といった印象を受けるんじゃないかな。・・・逆に、会話の最後を「~です~」と伸ばしたり、「~です>」のようにだんだん弱くなっていくと、「甘い」や「柔らかい」といった印象を受けるんじゃないかい。
音楽も同じなんだ。だからこそ、フレーズの終え方を意識することで、よりその曲想を表現できるようになるんだ。・・・この曲「愛の挨拶」を聞いて、堀さんはどんなイメージをもったかな?
・・・思いやり・・・・相手を思いやる・・・優しく温かで・・・どこか少しおどけたような・・・心のコミュニケーションといったイメージを持ちました。
うん、なるほど!・・・じゃあフレーズの終え方もそれにあわせた表現にしないとね。・・・堀さんの今の演奏での表現は、少しぶっきらぼうな感じがするんだよね。
(吹き始めは、音の出し方に集中しているけど、吹き終わりは、音を最後まで意識できていないかも・・・)
じゃあ、優しく柔らかな感じをだすには、何に気を付けたらよいだろう?
そう、一つは音の長さだね。フレーズの間にブレス(息つぎのことだよ)することが多いけれど、今の堀さんの演奏は、次のフレーズの出だしを意識しすぎて、ブレスのタイミングがはやくなっているんだ。そうなると、フレーズ最後の音の長さは短くなってしまうよね。
・・・ゆっくりした曲、ゆったりした曲は、何となくブレスもゆったりしてしまいがちなんだけれど、ゆったりした曲は、音を伸ばすことが多いから、結果として瞬間的なブレスが必要になる場面も多いんだ。
ゆったりした曲であっても瞬間的なブレスを意識することが、音の長さにつながるんですね。
そうだね。・・・堀さんの場合、フレーズの終わりの音が「ピタッ」と止まっているんだ。
・・・あっ、私、息つぎするときに、舌の先で息を止めているかもしれません。
そう、舌やのどで息の流れを急に止めると、口の中の空間が急にせまくなり、はっきりとした演奏になるよね。優しく柔らかいフレーズの終え方をするのであれば、舌やのどで息の流れを急に止めないこと・・・息の流れを素早く緩やかにするんだ。・・・息だけでやってごらん。
(フーッ、フーッ)・・頭ではわかるんですが・・・息の切り方が少しきついような感じがします。
息の流れを止めるときに、口の中の空間がせばまっていないかい?・・・口の中の空間がせまくならないイメージをつかむ一つの練習だけれど・・・息の流れを止めるときに、口の先を少し開けてみるんだ・・・なるべくよけいな力が入らないようにね。
はいっ・・・(フー>、フー>)・・・切るときの、きつさが消えた気がします。
その感じでリコーダーを吹くと、音の切り方がきつくならないんだ。フレーズの終わりに、特にそのイメージを意識すると良いと思うよ。
ふむふむ・・・(フー>、フー>)・・・慣れるまで少し時間がかかりそうです・・・
音の長さを意識しながら、息をコントロールして、さらにブレスや次の音も意識しなければならないから、フレーズの終わりは難しいんだよ。