高校2年生の探究では「探究型読書」のプログラムに取り組みました。このプログラムは本を通して、ものごとについて深く思考し、自分の考えを組み立て、個人の探究力をつけることが目的です。
まず生徒は背表紙のみをみて本を購入します。購入する本は社会問題をテーマとした新書に限ります。生徒は授業まで本の中身を見ることは出来ません。
読書を探究活動と同様の3つのプロセスに分けていよいよ授業を行います。
具体的には、読む前に「問い・仮説」を立てる【読前】、読みながら「問いに対する情報を収集する」【読中】、読んだ後に「仮説の検証・考察・まとめ」を行ない、さらには自分の問題意識へとつなげていく【読後】の3段階に分かれます。
「読前」 まず未知の状態(モヤモヤする)を作り出す
「読中」 「自分の問い」や仮説を念頭において本を実際に読む
「読後」 自分の問いとの照合や自分にどう活かすかを考えていく
はじめは全く新しい読書の仕方に戸惑っていた様子も見られましたが、普段の読書よりも、興味をもった事に対してより深く理解し、自分ごととして捉えることが出来ました。
また授業の最後では、クラス間を自由に行き来して、他の人がどのような本を読んで何を学んだのかを見学して共有できるようにしました。新たに読みたい本を発見できた様子でした。
[生徒の感想]
高2 Hさん
自分で読んで深めるだけでも色々学びがあって面白かったけれど、自分で一度要点を整理して発表して、みんなと話し合ったことでさらに理解が深まったし、考えたことが広がって楽しかった。具体的には、「世界にはいろんな人、国、地域、考え方があるから、SDGsの各目標を必ずしも世界にいる全員が理想だと思うことはない」という自分なりの考えについて、友達が「〜したほうがよいと全て決めつけるのではなく、それぞれの地域や人が要望などを発信して、政府や世界はそのそれぞれに対して応える、協力するのが理想なのではないか」という意見を述べてくれた。これにはとても納得できて、面白かった。世界の様々な国や地域の人の考え方・文化を知って、色々な人や世界を理解し、その上で、できるなら世界の多くの人が幸せになる方法を考えることができたらと思った。
高2 Iさん
目次やあらすじを見ずに背表紙のみで本を買い、内容の予測をしながら読んだのは初めてだったけれど、表題からは予測できない内容が書かれていたりすることもあり、興味深かった。
普段ただ本を読むだけだと一度読んで満足してしまって内容があまり頭に残っていない可能性もあるけれど、今回のように深く読み、どんな学びがあったか、印象に残った言葉などを書き留めながら読んでいくと深く心に残り、良い学びになることを実感した。